<参照/讀賣新聞編集手帳2019.1.6> 2019.1.8 小林勝
イノシシ
神戸に住む同僚のスマホには、県警から注意喚起のメールが頻繁に届く。不審者や痴漢に交って存外に多いのがイノシシの目撃情報らしい◆六甲山系が住宅街近くまで迫り、餌を求め悠然 ゆうぜん と歩いている。餌付け えづけ を禁止した条例さえあって、違反すれば氏名公表に至る場合もあるとか◆こと神戸に限らずイノシシは急増している。2016年度、狩猟や駆除による捕獲数は62万頭で、11年度より20万頭以上増えた。人の被害も今年度は既に20人を超えた。群馬の女子高校生VSイノシシの「10年戦争」なる連載が中高生新聞に載っていた◆善玉として語りづらい今年の主役だが、山鯨 やまくじら との言葉が残るように、長らく家畜を食しなかった日本人にとってしし肉こそが獣肉、薬食いの代表格だった。低カロリー、低脂肪で、たんぱく質やビタミンB群が豊富だ。昨今はラーメンやピザトーストといったメニューも人気という◆岐阜県郡上市 ぐじょうし では2年前から日本猪祭り にほんいのししまつり が開かれ、肉質日本一を競うメインイベント「利き猪 ききしし グランプリ」には全国から参加があるそうだ。来月、東京での初開催も決まりやはり亥年 いどし なのだと得心する。